東アジアで最低であることが判明

2011.06.27

中国は両調査とも参加していないが、一九九八年に、京都大学経済研究所の西村和雄教授と慶応大学経済学部の戸瀬信之教授が大学生の数学力調査を行ったことがある。世に言う「分数ができない大学生」を広く知らしめた調査発表である。その調査データでは、九八年当時の東大、京大レベルの文系大学生の数学力が、中国の大学の哲学科の学生に大きく負けていたのだ。つまり、数学、理科ともに、東アジア最低レベルに転落しているといっていいだろう。笑い話でなく、北朝鮮のみが東アジアの同類といっていい状態なのだ。ちなみに英語力に関しても、ここ数年TOEFLの平均点は、北朝鮮と並んでアジア最低レベルであることが明らかになっている。さらに言うと、この学力低下は現在進行形の問題でもある。PISA調査でも二〇〇〇年から二〇〇三年の間に顕著な順位の低下があったのは前述のとおりだが、TIMSS調査では、たとえば中学二年生の数学力は、一九八一年には断トツと言っていい成績で調査参加国中のトップだった。しかしながら、九五年には三位に転落、九九年には五位になり、二〇〇三年も五位ではあったが、点数に関しては、日本より上位の東アジアの国々は、台湾が横ばいであるのを除けば、韓国、香港は平均点を上げている。それなのに日本は九点も点数を下げ、統計的な誤差とは言えない落ち様であるとされた。実際には、文部科学省は、二〇〇〇年のPISA調査(このときはまだ数学的リテラシーは一位、科学的リテラシーは二位だった)などをもとに、日本の子どもたちの学力は落ちておらず、問題はペーパーテスト学力が高いのに、創造性や自主性が育っていないことだと主張して、いわゆる「ゆとり教育」路線を推進してきた。しかしながら、その前提となるペーパーテスト学力でさえも、東アジアで最低であることが判明したわけである。